政治家やマスコミはこぞって「日本の景気は回復傾向」「上向き」などと日本の景気について良くなっているとか言って、「不景気は脱出した」と言ってるようだけど、しかし、自分はまだ不景気は終わってないと思います。
何故かというと、確かに企業倒産数や負債総額は減少する傾向にあるが、ただ、それは大手の企業だけの事で、依然、中小・零細企業に関しては厳しい経営が続いている状態です。
しかも、帝国データバンクの倒産集計7月報を見ると、厄介な事が書かれてある。
それは何故かというと、「破産と特別清算による「清算型の法的処理」の合計は453件。構成比は39.4%で倒産全体の4割近くを占めるなど、事業継続断念を強いられるケースが増加傾向にある。」「民事再生法(前年同月比31.6%減、52件)は5ヵ月連続して前年同月比20%以上の減少率。」「現在、倒産件数は減少傾向を示しているが、倒産の内訳である「清算処理」の推移を見ると、事業継続断念を強いられるケースが増加傾向にあり、むしろ事態は深刻さを増している。
月中、破産と特別清算による「清算型の法的処理」の合計は453件(前月439件、前年同月503件)発生した。倒産全体に対する構成比は39.4%(前月39.0%、前年同月36.3%)の高水準で、清算処理が倒産全体の4割近くを占めており、その割合は近年増加している。」など依然厳しい状態が続いている事が見て分かるようになっている。
特に最近は民事再生法で事業継続せずに、自己破産か特別清算で会社を解散し、事業継続を断念するケースが増加している。
何故、民事再生法を使わずに、事業を継続せずに会社を清算するケースが増加しているのだろうか。
「自己破産」や「会社清算」に至った企業の所を見ると、親企業、関連企業や資金援助をしていた企業の倒産による自己破産及び特別清算や「先行き好転するメドも立たないことから事業継続を断念した。」など事業を継続しても売り上げが伸びないと判断したケース、また所有していた物件(ゴルフ場とかの施設)や営業権を他の企業とかに売却したことで、これで会社は用済みとなって会社清算に至るケース、巨額な債務を抱え、民事再生法を申請しても事業継続が困難なケースなどいろいろなケースがあります。
これらの企業の倒産原因となったのが、やはり不況が大きな要因だと思います。
個人消費の低下、市場不況による販売不振、業界不振などいわゆる不況型倒産が民事再生法を含めた倒産の要因のトップを占めておる事やバブル期の大きな投資(工場建築など)をし、それが引き金で倒産に至ったケースも多数あります。
不況型倒産などが要因で自己破産や特別清算する企業が多い中で、それらを目につぶってマスコミはこれらをあまり大きく取り上げずに「景気上向きだ」と言い張る。
しかし、先も書いたとおり、中小や零細企業は依然かなり厳しい状態が続いており、好調といわれている電子関連業界の中小零細企業からも「受注が回復してきたといっても、同業者が減り、ピーク時の6〜7割まで戻ったに過ぎない。単価も依然として厳しい状況が続いている」といった依然厳しい状況を物語る声が聞こえる。
日本の大企業の一番下を支えているのはこういった中小・零細といった小さい企業であり、その小さい企業が依然厳しい状態である事は、一番上である大企業にも影響を与えかねない。
しかも最近は企業不祥事が相次ぎ、特に三菱自動車関連は一連のトラブル隠しで、売り上げが激減し、上の企業の不祥事は一番下の企業にも響き、最も厳しい状態である事だと思います。これは他の不祥事を起こした企業も同様で、そう言った企業の不祥事はその企業だけではなく、関連してくる企業にも大きく響く。つまりは1つの企業不祥事だけで下請け会社など数社はつぶれてしまう可能性もあると思います。
自己破産・企業清算する企業の中には連鎖倒産(親企業・関連企業の倒産で、資金が得られにくくなり、自己破産申請に至る。一緒の時もある)で、それに至ってしまうケースも多い。
1つの企業が潰れれば、その企業に関連する多数の企業が一緒あるいは近いうちに潰れてしまうと見てもいいと思います。
しかし、メディアはそう言った小さい企業の厳しい現状を取り上げる事も少なく、ただ、景気動向指数の結果などを見ただけで景気上向きと判断するが、実はガンなどの病気と同じで、自己症状のないまま静かに進行して行き、やがて気付いた時には時すで遅しといった具合に、日本を支えている中小・零細企業の厳しい現状や、自己破産・特別清算の増加を見ずに手を打たずにいると、近いうちにまた景気が下がり、大不況にまた逆戻りする可能性はあると思います。
自己破産とかで企業が無くなるという事は、その企業のやっていた業種の衰退にも繋がったりする可能性もあります。
また、株価の低迷や原油価格の上昇、不良債権処理、UFJグループやダイエーの一連の騒動などまだまだいつ、また景気が下がっても良いような状況は続いています。
メディアの報道を見て、「景気上向き」の記事を見て、早合点して喜ぶ事ではなく、今の時代の状況や、中小企業の状況、倒産件数やその理由などを見てから、今の景気の具合を自分で予測して、判断した方がいいかなと思います。