昨日、笠松競馬廃止へのニュースが流れてから、競馬系サイトで大騒ぎになり、各メディアもこれを大きく取り上げ地元の岐阜新聞には一面でこの事が取り上げられました。
その中の一つの毎日新聞の記事(http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/gifu/news/20040914ddlk21020029000c.html)の中で委員会の意見の事が書かれてましたが、その中で「行財政への貢献が失われたのだから廃止すべきだ。県民のためになる」という発言がありましたが、この発言についてかなり違和感を覚えました。
この発言を言った人は「笠松競馬は今や財政を圧迫するだけのお払い箱。こんな役立たずな物はすぐに廃止になった方が行政にも負担かけずに済むし、県民の税金が使われずに済む」というつもりで言ったかと思いますが、しかし、実際はその逆だと自分は思います。
笠松競馬が廃止になった場合、委員は「貢献が失われた」と言ってますが、しかし、これまで笠松競馬にはカウンテスアップマックスフリートオグリキャップオグリローマンワカオライデンとその産駒達(ライデンリーダー、シンプウライデンなど)、レジェントハンター、フジノテンビーなど次々と名馬を送り出し、現役でもオグリキャップ記念ダイオライト記念を勝ち、中央のGIフェブラリーステークス4着のミツアキタービンがいます。
オグリキャップやレジェントハンター、ミツアキタービン、さらにはワカオライデンの産駒達の活躍によって、笠松の名前は全国区になり、笠松のある岐阜県のイメージアップにも繋がったと思います。現役のミツアキタービンが現在休養中だが、能力は全国でも通用する物を持っており、依然笠松競馬が岐阜のイメージアップに繋がっていると思います。「貢献が失われた」と言う発言はカネだけの話で県のイメージの面で考えると、貢献度はそれ以上だと思います。現に笠松競馬は中央しか競馬をしていないファンにも知名度は高い事だし、旅打ち笠松に来る競馬ファンもかなり多いと聞きます。
笠松競馬の売上金でイメージした貢献度と、笠松競馬の競走馬の活躍によって岐阜県にもたらした貢献度は全く大きな差があります。
よって、今も笠松競馬は岐阜県、そして行財政への貢献は失われてないと思います。
また、笠松競馬に所属する騎手の中には川原正一安藤光彰笠松所属でありながら、中央のレースでも活躍している騎手も多く、笠松競馬が廃止になった場合、彼らはもちろん他の競馬場に移る事になる。そうなると、彼らの収入から出る税金に影響が出る。
川原正一騎手の場合、今年は95勝を挙げ、また賞金の高い中央でも特別戦を勝ったり、重賞レースで2着に食い込んだりするなどしている。
もし、彼らが笠松競馬廃止によって他の県に移動になると、県民税など税収にも少なからずも影響が出る。
その面でも「貢献が失われた」という事にはならず、全国区で活躍する名手を複数抱えているため、税金面でも彼らの活躍は貢献している。
結局委員会で言いたい事は「赤字だから廃止しなさい」という事だが、記事を見ても全く笠松競馬が廃止される事によって、県や町、国に影響する事など全く語っていない。
競馬場の廃止によって、彼らはどこも影響しない、むしろお払い箱が消えたから県民の税金が使われずに済むと思うけど、しかし、競走馬が走る所が減るから、競馬界や生産界、北海道経済には大きな影響が出る。
今まで何回も書いてきたけど、競馬文化の衰退や競馬場の廃止のよって、競走馬の生産頭数は減って、生産牧場の倒産が相次ぎ、生産牧場が少なくなるから競走馬の数が減り、さらに・・・の悪循環に陥る。
セリ市にしても、相次ぐ地方競馬の廃止が影響をかなり与えているのも事実だし、また、JRAにしても多大な影響が出る。
JRAしか見ていない競馬ファンにして見れば「地方競馬などどうでもいい」「地方競馬など無くなればいいじゃん」と言うバカもいるけれど、しかし、昨今の競馬ブームを作って来たのは地方競馬の馬達であり、今年上半期の競馬の話題を独占したのもコスモバルクハルウララ地方競馬の2頭である。
JRAの馬たちはエリートホースが多い分、最近は名馬が多く生まれ過ぎており、この点が競馬離れを起こしているかもしれない。つまりは名馬ばかり生まれて面白くないという事。
そのエリートホースに下と見られがちな地方競馬から、そんな馬たちを倒す強豪が出てきて、中央の一線級と好勝負を繰り広げれば競馬は面白くなる。
現に今年のクラシック、道営のコスモバルクがいなかったら、クラシックは面白かったと思いますか?
彼がいたからこそ、今年のクラシックが面白くなったのです。彼がいなかったら、メディアもあまり騒がず、競馬ファン以外に話題に上る事も無かったと思います。
ハルウララにしたって、一時的とはいえ、あれだけのムーブメントを作ったわけですから、少なからずも競馬のイメージアップには貢献したのです。
JRAの馬たちじゃそんな事は出来なかったでしょう。個性的な馬がステイゴールド以降途絶えていて、面白くも無くなっている以上は地方の助けが無ければJRAも成り立たないと思います。(その逆にJRAの助けがないと地方もやって行けないと思います)

笠松だけではなく、廃止された所の委員会や行政とかは競馬の事など全く考えてないと思います。
ばんえいの場合はまだばんえい大好きの矢野アナが委員にいるからまだ期待は出来るが、委員会の委員が競馬について分かっている人がいるのか疑問を持ちます。
今回の笠松の件にしても、競馬の事を全く分かってないような的外れの意見を言ったのもいたし、大学教授とか経済界の有識者とか県議とかで構成されていると言って、この委員会こそが死神と言っている人がいる。どうやら「笠松競馬経営問題検討委員会」ではなく、「笠松競馬廃止検討委員会」だったような気がします。現に競馬分かってない人も多いようだし。
競馬廃止という以上、行政側にも問題があると思います。
競馬で得た収入で無駄な物を作ったりするなど、上山の時にも地元の実況アナであった興那覇アナや地元の競馬新聞の記者がテシオとかで行政や競馬で得た収入の使途について散々怒っていましたが、競馬で得た収入を無駄な建物とかに使っている事が多く、上山の場合は主催者であった市がバカだったため、競馬が死に至ってしまった訳で、さらに最後の日となった11月11日の開催前にも市長が競馬関係者の前で全く廃止の事を理解していないような行為をして、関係者から怒号を浴びた事があり、競馬ファンも市のダメ市政を分かっていた人(当然自分もテシオとか読んで理解しました)も多く、市長の挨拶の時のヤジはおそらくこれ以上ヒドイ物は無いというくらい凄まじい物でした。(もちろんヤジした人は悪い人ではなく、ちゃんと純粋に競馬を楽しんでいた人がほとんどですよ。その証拠にラストレースの時に騎手たちに別れの言葉を言っていたし)
益田や新潟みたいに立地の問題があったなら仕方ないにして、もちろん競馬場の廃止というのは主催者である行政の責任も問われます。
競馬は競輪・競艇と比べるとファンサービスが乏しい。春に廃止が確定的な北関東競馬がまさしくその例だ。
「やる気が無い」高崎の時、当時の金井局長が組合のやる気の無さをこう言っている。

ところが、今までウチのプロパー職員というのは、重要な場面ではノータッチで、上から「黙って自分の仕事さえしていれば良い」って教育受けてきちゃっているから――。だけど、そりゃあ、おかしいんじゃねえ?こんな潰れるか潰れないかって時に?

そのために金井局長はファンに挨拶をしたりしたが、金井局長は栄転し、競馬は結局廃止となった。
これらに比べればやる気が無いと言われてる川崎競馬がまだ良い風に見えるよ。
地方競馬場でも大井とか一部を除いてはファンサービスが乏しいという気がします。
上山は最後の頃はやる気があって、協賛レースの時にはグッズのプレゼントや協賛レースの特典、特別観覧席のグループ割引などで最後まで客を獲得しようとしていたところがあります。
現に高崎でも同じように協賛レースがあっても、遠いけど温泉とサービスのいい上山のほうに東京のファンは協賛レースしていたし。
競輪や競艇は歌謡ショーや新聞の無料配布など多種なファンサービスで頑張っていて、競馬に比べて廃止される所が少ない。(それでも状況は厳しいが・・・・)
テシオの松尾編集長がかつて「だって競艇のほうがファンサービスがいいもんね」と言っていた。
競馬雑誌の編集長でさえ、競馬のファンサービスの乏しさについてこう言っている。
主催者側のやる気とファンサービスの良さ、さらには魅力のあるレース作りが無い限りはまた地方競馬場の廃止が出てくるかと思います。

競馬場の廃止は行政の責任であり、これに追及しないのはどうも納得がいかないと思います。競馬を主催しているのは行政の組合なんですから。
笠松の懇談会もそうだが、競馬について分かっていない人がやってたってダメ。ただ経済とか金の流れに詳しいからって委員に加わるだけじゃ的外れな意見ばかりになると思います。
笠松競馬は今や財政を圧迫するだけのお払い箱。こんな役立たずな物はすぐに廃止になった方が行政にも負担かけずに済むし、県民の税金が使われずに済む」発言にしても、廃止後の事後修理や廃止になった場合の経済損失、雇用問題、県や国、経済に与える影響について理解せずに言っている様な気がします。
前も書きましたが、高知の場合は事後処理や経済損失、雇用問題、行政への問題について検討した結果が今に至っていますからね。
昨日も書きましたが、廃止を考える前に、廃止になった場合に抱える問題やその影響などを考えてから検討したほうがいいのでしょうか。
延命で考えるのであれば、高知競馬でやっている高知方式*1を他の競馬場でも導入してもいいんだし、それでダメだったらファンも諦めが付くと思います。やってもダメだったんだなと。
ただ、それでも行政に対しては怒りが収まらないと思います。
廃止に至るんだったら、ファンでも納得の行くようにして欲しいです。懇談会のメンバーにしても大学教授や経済のプロよりも同じような職種でも競馬について理解のある人がやればいいと思います。
そっちの方がファンの気持ちも代弁できて納得のいく回答が出来ると思います。
まず廃止について検討するんでしたら、高知方式の導入するべきか否か、懇談会の人選、行政の責任、そして廃止後の影響などを検討してから決めてほしいと思います。

*1:開催年度を3ヶ月ごとの4つに分け、3ヵ月の期間ごとに収支を算定し、3ヶ月の期間内が赤字で終わった場合は次の3ヶ月の期間で埋め合わせるように経費を調整するやり方。1年通じて赤字だった場合は即廃止となる。高知競馬は今年度の最初の3ヶ月で赤字が出てしまい、ハルウララで稼いだ前年度分の儲けから切り崩した。