いよいよこの日を迎えた。
ハルウララに世界の武豊が騎乗する日だ。
この日は入場制限も行われるのが予想されるため、朝早くに高知競馬場に向かうことにした。
朝7時半にホテルでパン5つとジュースを飲んで出発。
パンを食べながら、地元の高知新聞を見たが、記事はもちろん、一面全面広告でもハルウララが登場していた。もちろんスポーツ紙もハルウララがどーんとでっかく出ていた。すごい騒ぎになっている。
急いでパルス高知に向かうが、既に中にはハルウララの馬券を求め、すごい行列が出来ていた。
1階で買うと、時間がかかりそうなので、2階で購入。こちらは比較的空いていた。
そしていよいよハルウララの馬券を購入。こちらでは2枚にみ購入。他は現地で買うつもりだ。
他にも7レースのはりまや盃から最終のYSダービージョッキー特別の馬券を前売り購入する。
パルス高知を出て、近くでタクシーを拾って、高知競馬場に向かう。
運転手さんから「高知桂浜道路を通ってもいいですか?」と聞かれ、即座OK。100円を追加して通ったが、もう出口付近は渋滞に。そう、みんな高知競馬場に向かう車だ。駐車場も見たが、すでに満杯状態。
なんとか競馬場に入り口に着くと、もう既にすごい行列が出来ていた。
あとでNHKのニュース10で見たが、先の交差点まで伸びていたようだ。
自分はなんとか帰りの無料バスのバス停の近くの場所を確保したが、いやー、すごい人だ。競馬場でこんな行列を見たのは初めてだ。みんなハルウララを見に来たのか。車のナンバーも高知以外にも愛媛、兵庫など全国各地から集まっているようだ。
実際、呼び出しの放送も高知以外の人を呼びのが多かった。みんな全国各地から来たのか。
雨の中、傘をさしながらラジオを聴いて待っていたが、RKCラジオもFM高知も全てハルウララの話題一色だった。高知競馬場で売っている3紙も競馬新聞もハルウララの写真をたくさん掲載し、特集を組んでいた。そう、この日は高知中がハルウララで持ちきりだったのだ。
自分は日本最古の競馬新聞ともいわれる中島高級競馬号(大正14年創刊)を購入。(後で付録目的で福ちゃんも購入)
雨の中、1時間弱待ち、開門は9時30分の予定が、雨や人の集まりから9時に開門。シャッターが開くと、縦横無尽に人がシャッターをくぐる。集まる集まる。列に反して横入りする輩も続出。なんとか入り、すぐに前売り馬券売り場に行った。なんとか前のほうに並んだので、30分くらいで買えたのだが、発売開始の9時30分前になると、うちの横にマスコミが集まる集まる。うちのまえのオヤジなんかは100枚も買うというんで、インタビューを受けていた。
実際、この日は競馬を知らない人もかなり来ていたようで、マークシートの塗り方がわからなかったり、馬券の買い方などわからない人もいたようだ。また、ハルウララが話題だからと普段は中央競馬しか見ないファンもかなり集まり、いつもの常連や地方競馬ファンにとってはこの日の高知は異色の空間となった。
10時前に3枚購入。5枚分単勝購入し、スタンプを押す。
1レースの発走は11時15分だが、その時間もあっという間に過ぎていった。
この日の高知は全10レース制で、馬場状態は不良。1レースはサラD5戦。このレースにはあのマイネルガーベが出ていた。
マイネルガーべは元中央馬で、中央時代はOPで活躍し、95年のNHK杯で同じマイネルマイネルブリッジの2着に入り、ダービーに出走した。その後、96年の夏にはOP特別も制したが、その後はスランプに陥り、ブリッジが有馬記念3着に入り、今はすずらん乗馬クラブで余生を送っている中、ガーべは南関などを経て、今も走り続けてた。この馬は後方からの追い込み馬で、96年夏に制したOP特別もゴール前、強襲で制した物だった。
しかし、もう12歳。当然このレースも敗れてしまった。この日も1レースは当てたが、2レースも当てたが、この日の馬券の成績を結論から書くと、前日よりは良くなかったが、それでも計6400円は払い戻せた。
高知は元中央の馬がよく来ると書いたが、マイネルガーべ以外にも3レースには元中央準OPのセイウンザン、4レースには同じく準OPのオーサカヅキとユノダイナザウルス、6レースには同じく準OPのロードブレーブ、さらに前日出たオースミレパードナムラコクオー、シルク、メジロ、ロードなど冠名の付いた馬・・・・ここはある意味中央からの都落ちの園なのだ。他のどの地区よりも濃い園なのだ。
そう思いつつ5レースまで終わり、この後行われる第18回全日本新人王争覇戦の紹介式が始まる。紹介式では中央の五十嵐雄祐騎手と福山の池田敏樹騎手の選手宣誓が行われ、各地から集まった騎手の紹介を橋口アナがする。
紹介式が終わり、6レースが終わった後、いよいよ春祭りが始まる。7レースはJRA交流のはりまや盃。出走馬は

1 1 シーキングマイラブ 54  安藤勝己 (JRA)牝4 
2 2 タフィラルト    56  中西達也 (高知) 牡4
3 3 ドレスサークル   54  小牧 太 (JRA)牝4
4 4 スマコバフレンド  55  西川敏弘 (高知) 牡7
5 5 ギガンティック   55  中越豊光 (高知) 牡9
  6 ブルーテンホー   55  西内 忍 (高知) 牡8
6 7 コスモブレーン   56  武  豊 (JRA)牡4
  8 ウイングブライアン 56  松永幹夫 (JRA)牡5
7 9 シルフリバイバル  56名 吉田 稔 (JRA)牡4
  10 シャーペンアイル  55  倉兼育三 (高知) 牡10
8 11 マチカネスズカゲ  56  武幸四郎 (JRA)牡6
  12 ストロングボス   55  宮川 実 (高知) 牡6
馬券はストロングボスからJRA馬への馬複流しと単勝1.10と買ったが、レースは最後はミッキーとユタカのマッチレースになり、わずかに松永幹夫のウイングブライアンが制した。中央ファンは大歓声。自分らは沈黙・・・・
続いて8レースは第18回全日本新人王争覇戦。「高知で会おう」という合言葉を元に12名の騎手が高知に集まった。

1 1 ショウリノオタケビ 54 林  幻 (船橋) 牡7
2 2 ニュースフラッシュ 55 大畑雅章 (名古屋)牡4
3 3 フェオ       54 前住和寿 (川崎) 牝6
4 4 ミスターアオモリ  54 和田譲治 (大井) 牡8
5 5 ダイナナワンダー  55 柴原央明 (JRA)牡4
  6 カクテルウィンディ 53 吉村智洋 (園田) 牝8
6 7 セイエイカーネギー 54 池田敏樹 (福山) 牝5
  8 フジノスマイル   54 筒井勇介 (笠松) 牡7
7 9 ビッグドーベル   55 岩橋勇二 (北海道)牡6
  10 ポライドワールド  55 五十嵐雄祐(JRA)牡5
8 11 オテンバミヨチャン 54 斉藤雄一 (盛岡) 牝6
  12 モエロイイオンナ  54 周藤直樹  (福山) 牝4
はっきり言って混戦。だから重賞勝ちのあるモエロイイオンナ(金の鞍賞勝ち馬)や穴馬に乗ったら怖い柴原や和田、去年の日本スポーツ大賞新人賞を獲った池田の単勝と和田からの3点馬複で勝負。
結果は柴原のダイナナワンダーが制し、締切5分前には20倍以上オッズがついていたので、獲ったと思ったら、配当は820円・・・・ガクッと落ち込む。当てたのに落ち込む・・・
そんなショックを忘れてメインの黒船賞を迎える

1 1 アサヒミネルバ   56 中西達也 (高知) 牡7
2 2 ウォーターダグ   56 西村敏弘 (高知) 牡9
3 3 ホクザンフィールド 56 岩田康成 (園田) 牡5
4 4 ベストライナー   56 中越豊光 (高知) 牡10
5 5 ノボトゥルー    59 武  豊 (JRA)牡8
  6 ディバインシルバー 57 安藤勝己 (JRA)牡5
6 7 マルカバリー    56 佐藤友則 (笠松) 騙9
  8 キウィダンス    54 吉田 稔 (名古屋)牝5
7 9 マッケンリーダー  56 明神繁正 (高知) 牡11
  10 タイキシェンロン  56 菅原 勲 (水沢) 牡6
8 11 ノボジャック    59 小牧 太 (JRA)牡7
  12 ウインクリューガー 59 武幸四郎 (JRA)牡4
今年もJRA陣で間違いないと見て、ノボ2頭の馬単を厚めに、地元で12戦12勝のベストライナーと合わせて馬単とベストライナーとノボジャックディバインシルバー単勝で勝負。
レースの前後に中継のあるRKC高知放送ラジオも聴く。こちらの実況は場内実況をそのまま使っている。
レースは中央の2頭が逃げ、速いペースで1コーナーを通過、結局ディバインシルバーが逃げ切り、ノボトゥルーが2着、ベストライナーは6着だった。
配当金は少し期待したが、薄めに買っていた上、相当安い配当金・・・・戦意喪失・・・・・
そしていよいよハルウララのレースを迎える。
最終10レースはYSダービージョッキー特別。
このレースは小学館ヤングサンデーハルウララの馬主の安西美穂子氏の主宰するCLUBによる協賛レース。
さすがにこのレースになると、窓口はどこも大混雑。買うのに10分もかかった。待っている間モニターでパドックの様子を見る。ハルウララは424キロで出走。しかし、やや入れ込んでいた。他の出走馬は以下の通り

1 1 カガノジョテイ   55J 小牧 太 牝5 460キロ(−3)
2 2 シルクコンバット  55  古川文貴 牡7 496キロ(±0)
3 3 フアストバウンス  54  中西達也 牝7 459キロ(+10)
4 4 グラスホッパー   54  緒方洋一 牝7 487キロ(+1)
5 5 ハルウララ     54J 武  豊 牝7 424キロ(+4)
6 6 ウォーターシュート 55  赤岡修次 騙9 424キロ(+5)
  7 レディサバンナ   54☆ 上田将司 牝4 450キロ(−6)
7 8 バンナシャネル   55名 吉田 稔 牝4 411キロ(−7)
  9 サパースファイター 56  堅田雅仁 牡5 441キロ(±0)
8 10 シアトルスワン   56  宮川浩一 牡5 449キロ(−2)
  11 ローズプレイヤー  54  倉兼育三 牝9 470キロ(−2)

黒船賞よりもこちらがメインだった気がする。
観客は皆、ハルウララを見に、全国中から集まり、マスコミも群がり、前売り馬券売り場は3時間以上待ち、グッズ売り場も2時間待ちと大騒ぎ状態。
はりまや盃の前、RKCラジオでアナウンサーが並んでいる客にインタビューをしていたが、2時間待っても全然動かないとの事。休日のディズニーランドの渋滞を超えてるようだった。
この日のために初心者コーナーを設けたり、場内の食堂や売店ハルウララのグッズやオリジナル弁当、いつもと違うメニュー、横断幕を用意するなどこの日の高知競馬場高知県を代表する祭りの会場となっていた。
既に入場は制限されていて、12時40分に13000人を超え、入場制限されていた。
入れなかった観客は近くの春野陸上競技場でビジョンで観戦。また、このレースは全国の地方競馬場でも発売され、どこもハルウララの馬券を買いに人が殺到し、行列がかなり出来ていた模様。
テレビ放映も大阪のMBS毎日放送では瞬間最高視聴率19%を超えるなど、日本各地がハルウララ一色に染まっていた。
馬券を買い、荷物を取りに行ってる所で本馬場入場が始まり、ハルウララが出てきた途端、大歓声沸きあがる。そしてカメラマンもレポーターもハルウララの所に走る走る走る。
自分も姿を生で見た。小柄で本当に小さな馬体だ。この馬に去年204勝をあげた天才騎手が騎乗している。そしてすぐに1コーナーへと走り出して行った。
場内では絶えずハルウララの詩が流れ、そして締切を迎える。
締切で買えなかった客も続出。去年見に行ったダービーや有馬記念よりも
窓口が混んでいて、これじゃ買えない客も多く出るとと感じていたが、本当にそうなってしまった。
締切後、いよいよゲート前にハルウララが登場。観客もカメラマンもゲート前に集まる。
橋口アナの実況も始まった。思えばこのハルウララ騒動を作り上げたのはこの橋口アナだった。
橋口アナは研究熱心で、各馬の血統、成績、時計などを丹念に調べ、ストップウォッチを手に実況。実況の中にも血統の事等を織り交ぜ、「高知競馬を変えた男」「革命児」とも言われ、今年の2月に通算10000レース目の実況を達成。その時には熱心な地方競馬ファンからは協賛レースとして「橋口浩二アナ実況10000回達成記念競走」が行われ、橋口アナの10000回目の実況を祝った。
地元はもちろん、地方競馬ファン、また同業者である各地の競馬実況アナからも高い評価を受け、愛されている。
ハルウララのことはその橋口アナが去年の5月、ハルウララの戦歴を見て、一度も買っておらず、60連敗していることに気付き、話題作りのために高知新聞の石井記者に話したことがきっかだった。そしてそれからここまでにハルウララは全国区になってしまった。
ハルウララ騒動は橋口アナの研究熱心が生んだものだった。
その橋口アナの実況が始まり、ファンファーレが場内になり響き、ゲートに次々と収まり、体勢完了。
スタート。ハルウララはまずまずのスタートだったが、脚色が鈍く、後方からの競馬。普段は先行馬だけに前に行かないのは武豊の作戦かと思った。(後日、砂を被って目を負傷した事が判明した)
しかし、向こう正面でも動かず、3コーナーで後退、結果は得意の不良馬場にもかかわらずブービーの10着となり、シンガリは6番のウォーターシュートだったため、宗石大厩舎は逆ワンツーを決めてしまった。勝ったのは2番人気のフアストバウンスで、2着のシルクコンバットの鞍上は普段のハルウララの主戦である古川文貴騎手だった。
このレースはハルウララを含め、単勝フアストバウンスとレディサバンナを厚く買っていたため、馬単ハルウララを含め2−3−5−7−8のBOXで買っていた為、トントンで終了した。
払戻に行くときに武豊ハルウララがスタンド前に現れ、ローズランをして、拍手大歓声が沸きあがってた。各馬がスタンド前に行くときもハルウララがゴールしたときにも同じく拍手大歓声が沸き起こっていた。
払戻を受け、競馬場をタクシーで去ろうとしたが、大行列で1時間近くも待たされた。ラジオもやはりハルウララの話題ばかりだった。
そしてようやくタクシーに乗車。タクシーの運ちゃんと高知競馬について語り合った。
ハルウララのこと・・・経営のこと(特に春野陸上競技場でも馬券発売については同感だった。せめて払戻所があれば・・・)・・・競馬のこと・・・いろいろ話し合って、あっという間に高知駅に着いた。
運ちゃんも話すとおり、ハルウララで高知競馬の経営を支えるんじゃなくて、自分達の認識が甘いから、まずは自分達から変えて、高知競馬を革命しろといっていた。たしかにハルウララばかりプッシュしてるようじゃダメだと言う事は自分も同感だ。他にもファンを増やせる方法を考えるとかいろいろしなくちゃ高知競馬に未来は無いと感じた。
高知駅で降り、運ちゃんに感謝をした。その時に運ちゃんは「またハルウララを見に高知に来いよ」と言っていた。是非とももう一回高知に来たい!その時はナムラコクオーイブキライズアップ、ミリョクナムスメなども見てみたい。もう一回高知に行くことを決意し、土電に乗り、モスバーガーでメシを買って、ローソンで新聞買って、高知駅に戻り、特急南風で岡山に向かい、シティホテル池田で宿泊する。NHKのニュース10でもハルウララが大きく出てた。
武豊が乗ったことでハルウララブームは頂点を迎えた。これでハルウララブームはピークを過ぎたと言える。
しかし、彼女はタマちゃんと同じにしないで欲しい。
彼女は今後も走り続ける現役の競走馬だからだ。今後も彼女は初勝利という夢に向かって人々に夢を届けるために走り続ける。
ブームが終わってからでも引退する時まで走り続ける。そして引退したときでも彼女は永遠に人々の心の中で走り続けるであろう。
そして高知のジャンヌダルクとして、高知県史にも刻まれるであろう。
そしてこれからも彼女は夢に向かって高知のダートコースを走り続けてゆく。
無事是名馬・・・・ウズシオタローランニングフリーミスタートウジンオースミダイナー、そしてハルウララとなった。
どこまで走るか、地方競馬ファンである自分としては今後も見守って行きたい。 

当日の混雑の様子:http://www.kochinews.co.jp/rensai02/keibanews3.htm#040323-2
http://www.sponichi.co.jp/horseracing/kiji/2004/03/23/01.html
http://www.sponichi.co.jp/society/kiji/2004/03/23/01.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040322ic21.htmなど