金沢競馬のトップジョッキーだった蔵重浩一郎騎手が11月16日に突然引退をした。
4年連続で金沢のリーディングに輝いていたが、今年は無気力騎乗が多く、60勝挙げてたものの、遂に主催者から騎乗停止処分を受け、これが引き金となって引退になったようだが、しかし、何故彼はそんなに無気力騎乗をして、騎乗停止に至るくらいになったのだろうか。
無気力騎乗など別に珍しくも無い事だと思っているくらいだし、競馬ファンにも分かってるのもいると思う。
しかし、そんな無気力騎乗をするのは例えやっていたとしても、かなり少ないと思う。人気馬飛ばした事で、ベテランのファンが「八百長」だとか色々叫んでも、体調や馬のコンディション、馬場状態、距離など様々な要因が挙げられるし、飛ばしても無気力騎乗してる訳ではないと思う。
しかし、この蔵重元騎手は主催者から騎乗停止を言い渡されるくらいに無気力騎乗をしたのか。
その要因について考えてみた。
無気力騎乗で競馬ファンにとって一番考えるのは先も書いた「八百長」と思う。
トップジョッキーでも90年に捕まった川崎の本間茂みたいにやったのもいるが、ただそんなに数を重ねてヤオやるのだろうか。
管理体制が厳しくなった今でそんなにヤオを重ねるには証拠が乏しい所もあるし、物証するのは難しいと思います。
じゃあ、ヤオ以外で考えられる事はというと、自分の推測からして4つほど仮説を立てました。
まず1つは燃え尽き症候群になっていたのではないか。
燃え尽き症候群の症状を見ると、当てはまる事がいくつかある。「意欲が無くなる」「自責の念が強くなる」などがあり、心理的疲労を伴う職業や対人接触を要する専門職の人に多く発生する。
騎手にしても人気や厩舎との関係とかで心理的に使う部分もある。ひょっとして彼はこれにかかって引退を至ってしまったのではないかと思う。
ここを見ると、さらに分かりやすいと思うが、特に「仕事の負担・責任の重さでストレスが強まり、そのストレスに対して積極的な対処行動が取れない」と書かれてある部分、これは騎手という職業にもピッタリ当てはまると思う。
先も書いたが、騎手、特にトップジョッキーとなると、人気馬にのる機会が多くなる。その人気馬を騎乗する事、飛ばす事はかなりの不安とストレスを起こす。そして、飛ばすと、もの凄いストレスを感じるのではないか。
特に単勝が1倍台の馬など、必ず持って来る事が必須とされ、かなりの責任重大な課題である。これを飛ばしたとなるから、大変である。
蔵重の今年の成績を見ると、1番人気には61回騎乗し、1着24回、2着に12回来ている。連対率も勝率も去年よりは落ちているが、まずまずではないかと思う。
2番人気でも去年より幾分は落ちているが、まずまずだし、船橋の某騎手よりはマシだと思う。
しかし、それに対してファンの目は厳しかった。ネット上でもこの蔵重に対して誹謗中傷が書かれ、おそらく現地でも非常に罵声を浴びていたのだろう。
さらに彼には離婚したという話もある。97年の白山大賞典の時、地元のMROの実況アナウンサーが蔵重の馬の紹介のときに「結婚もしました」と実況していた記憶がある。それから7年・・・・
それが離婚となったのだから、プライベートの面でも上手く行かなくなり、さらに本職である競馬の方でも上手く行かなくなってしまったために、燃え尽き症候群になり、無気力な騎乗を繰り返し、最終的には引退になったと思う。
主催者の騎乗停止も、別の見方をすれば、急用を与えるという意味で、騎乗停止にさせたのかもしれない。燃え尽き症候群の場合、発想を変えたり、休養する事が治療に繋がる。しかし、それを彼は勘違いをし、ボイコットしたのではないかと思う。

他にも色々な要因はあると思うが、あくまでこれは自分の見解の一つとしてこれを書いてみましたが、こうして書いてみると、騎手という職業は改めて大変だなと思いました。
ただで肉体的にもキツイ職業なのに、それに加えて精神面、心理面でも大変な事が分かりました。
ある本のインタビューで名古屋の宮下瞳騎手が女性騎手不振の現状について、「自分に負けていると思う」と言っていたが、騎手というのは、全ての面で己との戦いであって、それに敗れてしまって引退しているジョッキーも多いと思う。(特に若手は)
対人関係に成績などあらゆる物が求められる騎手の世界・・・・・・・
今回の蔵重騎手も自分に負けて、引退になったのではないかと思う。トップジョッキーとしての責任の重さやプライベート、ファンの罵声や誹謗中傷など、ストレスが溜まり続け、さらに止めが主催者からの騎乗停止・・・・・・
こう思うと、正直気の毒な話になるのかもしれない。今回の件は。しかし、この件が本当に燃え尽き症候群による物ならば、それは氷山の一角に過ぎないと思う。
騎手の中には、燃え尽き症候群にかかって、満足に騎乗出来ていないジョッキーもかなりいると思う。
それに対し、主催者とかは騎手へのメンタルヘルスは出来ているのだろうか?
主催者じゃなくても、騎手会や調騎会にしても、そういった騎手のストレス対策にメンタルケアはやっているのか?
騎手という職業を考えた上では、騎手へのメンタルケアを積極的にやるべきだと思う。特に最近は賞金が減額されて、お金の事とかでストレスを溜め込んでいるジョッキーもいる。
騎手の大量引退を食い止めるためにも、経費を掛けてでも、騎手へのメンタルケアを実施して、少しでもストレスを取り除く事が今、大事だと思います。